2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ドゥイーノの悲歌

1911年から1912年にかけて、ライナー・マリア・リルケは、マリー・フォン・トゥルン・ウント・タクシス=ホーエンローエ侯爵夫人の招きによって、イタリア、トリエステ郊外にあったドゥイーノの古城に滞在していた。侯爵夫人の『リルケの思い出』によれば、1…

Safari 3.1がやたらに速い件

iTunesの自動アップデートをするついでに、話題のSafari 3.1 Windows版を入れてみたのだが、あまりにも高速に動作するのに愕然とした。真剣に乗り換えのための情報収集を始めよう。Safariのコアコンポーネント群WebKitはオープンソースなので、MicrosoftやMo…

「その日の花を摘む」ことについて

「比べてみよう - ホラティウスの翻訳」という記事で取り上げられている『歌集』第一巻第十三歌の翻訳比較に触発されて、私もホラーティウスの別の歌を超訳してみたくなった。 Tu ne quaesieris, scire nefas, quem mihi, quem tibi finem di dederint, Leuc…

古典詩文の実用性

あまり知られていないことだが、古典詩文というものには端的な「実用性」がある。 『イーリアス』であれ『万葉集』であれ『テンペスト』であれ、暗記するほどに読み込むならば、それは実際驚くほど「役に立つ」ものなのだ。高級な椅子を使っていれば腰痛にな…

富貴は吾が事にあらず

ou moi ta Gygeo tou polychrysou melei, oud' heile po me zelos, oud' agaiomai theon erga, megales d' ouk ero tyrannidos: apoprothen gar estin ophthalmon emon. 俺はギュゲス王の溜め込んだ黄金になど興味はないし、うらやましくもない。 神々のやる…

盾の歌、あるいは罪悪感ということについて

aspidi men Saion tis agalletai, hen para tamnoi, entos amometon, kallipon ouk' ethelon: auton d' exesaosa. ti moi melei aspis ekeine; erreto: exautis ktesomai ou kakio. あの盾を拾った敵は、さぞ喜んでいるだろう。 見事な品だったし、俺だって…