2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧
みずからの文学趣味に自信を失うのは、ヘルマン・ヘッセについて思う時だ。世の玄人はまず彼の作品を褒めないが、彼の後期諸作品の多くは掛け値なく素晴らしいと私は思う。ガラス玉演戯 (Fukkan.com)作者: ヘルマンヘッセ,高橋健二出版社/メーカー: 復刊ドッ…
高水準プログラミング言語を使ってプログラムを書くという営みは、明らかに藝術作品を創造することに似た感触を持つ。そして書き上げられたソースコードもやはり藝術作品と同じように、大多数の箸にも棒にもかからないジャンクと、少数の良作と、奇跡的な神…
東大、京大、北大、広大の教師が新入生にオススメする100冊上掲四大学の教官が新入生に奨める本をあるやり方で集計して順位付けすると、その上位はこんな感じになったとのこと。 「銃・病原菌・鉄」(ジャレッド・ダイアモンド、草思社) 「オリエンタリズム…
よくよく考えてみると、感傷というのは、実はかなりコクのある心的メカニズムなのではないか?「青空はあくまで高く桜の花ははらはらと風に舞うのに私の心は重く悲しい」というような表現がどうにも安っぽく感じられるのは、「のに」という逆接がそのメカニ…
ポエジーの値段の続き。今回は本の紹介も引用もなしで、論文調でいきます。
世間の自己欺瞞も呆れ果てたものだ。実はあれから一冊、最悪の手記を読んだ。「蒲生原に降る雪――鉄条網の彼方から」なる、強制収容された小学校教師の手記である。(引用略)この後に、世にも下手糞な短歌が入る。それはもう一段落する毎に短歌が入るのだが…
春の岬旅のをはりの鷗どり 浮きつつ遠くなりにけるかも 三好達治の「春の岬」という詩。もう、こういういかにもという感じの詩が似合う歳でもないと思うのだが、好きなものはしかたがない。憂愁とか倦怠というのは、どう書いても女子高生ポエムになりやすい…
私は大したエスペランティストではないが、何か一つの人工国際補助言語を全世界に普及させるべしという思想には、以前から強く強く賛成している。さらに正直なところを言えば、意見の一致が得られさえするならば、英語、中国語、アラビア語など既存の自然言…